2026/6/26

【第2回】雨の日こそ、運動神経が伸びる—室内でできる遊びの工夫

梅雨の季節になりました。「外で遊ばせたい・トレーニングしたいのに、雨ばかりで体を動かす機会が減ってしまう」——この時期、そんな声をよく耳にします。お子さまの運動不足が気になって、つい焦ってしまう保護者の方も多いのではないでしょうか。

雨の日や室内の時間は、運動神経を伸ばすうえで決して"マイナス"ばかりではありません。むしろ工夫しだいで、外遊びとはちがう種類の「動きの引き出し」を増やせる、貴重な時間にもなります。今月は、その考え方と、ご家庭でできるちょっとしたヒントをお届けします。

「広い場所で走り回ること」だけが運動ではない

第1回でお伝えした通り、運動神経の正体は「動きの引き出しの多さ」です。走る・跳ぶといった大きな動きはもちろん大切ですが、それと同じくらい、バランスをとる・体を支える・細かく操るといった動きも、運動の土台を広げてくれます。

そして、こうした"小さな動き"は、実は狭い空間のほうが育てやすい面もあるのです。広い場所では、子どもはどうしても「思いきり走る」「大きく跳ぶ」といったダイナミックな動きに集中しがちです。一方で、リビングや廊下のような限られた空間では、ゆっくりとした動き、繊細な動き、バランスを保つ動きに自然と意識が向きます。

つまり、外と中では育つ力が少しちがう。両方を経験することが、結果としていちばん幅広い土台をつくることになります。雨の日は「運動できない日」ではなく、「ふだんとはちがう力を育てるチャンスの日」と捉えなおしてみてください。

狭い空間だからこそ育つ、3つの力

具体的には、室内での遊びを通じて、次のような力が育ちます。

ひとつめは、バランスをとる力。片足立ち、つま先立ち、クッションの上に立ってみる——どれも狭い場所でできて、体の軸を整える練習になります。地味に見えますが、走る・跳ぶ・方向転換するといったあらゆる動きの土台になる、とても大切な力です。

ふたつめは、体を支える力(体幹)。ハイハイで部屋を移動する、手と足で支える"くも歩き"、お父さんお母さんと向かい合って手のひらで押し合う——こうした自分の体重を支える動きは、運動の安定感を生みます。

みっつめは、細かく操る力(巧緻性)。新聞紙を丸めて投げっこ、丸めたタオルでキャッチボール、折り紙やお手玉——指先や手首を使う遊びも、立派な運動です。手先の器用さは、ボールを扱う、ラケットを振る、といった競技の動きにそのままつながっていきます。

これらはどれも、特別な道具も広い場所もいりません。お子さまにとっては「ただの遊び」に見えるかもしれませんが、その一つひとつが確かな引き出しになります。

「ちょっと変な動き」が、いちばんの宝物

ご家庭で取り組むときに、ひとつだけ意識していただきたいことがあります。それは、いつもとちょっとちがう動きを混ぜてみることです。

たとえば、ふつうに歩くだけでなく、後ろ向きに歩いてみる。横歩きをしてみる。ケンケンで進んでみる。クマのように四つん這いで歩いてみる——たったこれだけのことで、ふだん使わない筋肉や感覚が一気に動き出します。

私たちが「運動神経が育つ」と呼ぶ現象は、まさにこういう"初めての動き"に出会ったときに起きています。同じ動きを繰り返すよりも、少し変わった動きを少しずつ試すほうが、子どもの脳と体には深く刻まれます。

そして何より、こういう動きは家族で笑いながらできます。「ヘンな歩き方競争」「片足で何秒立てるかチャレンジ」——お子さまにとっては、保護者の方と一緒に体を動かした時間こそが、いちばんの記憶になり、いちばんの動機になります。

宿題動画も、ぜひ親子で

毎月お届けしている宿題動画も、まさにこの「家でできる多様な動き」を集めたものです。短い時間でできるよう設計していますので、雨の日の少しの時間に、ぜひ親子で取り組んでみてください。

お子さまだけにやらせるのではなく、保護者の方も一緒にトライしていただくと、効果は何倍にもなります。理由は二つあります。

ひとつは、誰かと一緒だと子どもは何倍も楽しめて、夢中になれるから。

もうひとつは、保護者の方が「あれ、これ意外と難しい」と感じる動きこそ、お子さまにとってもいちばん新鮮で、伸びしろの大きい動きだからです。うまくできなくて構いません。むしろ笑い合えることが、続けるいちばんの力になります。

▷ 今月のひとこと:

今週、お家の中で「ちょっと変な動き」をひとつ家族で試してみてください。後ろ歩き、くも歩き、片足ケンケン——なんでも構いません。笑いながらできた動きが、いちばん体に残ります。