2026/10/22

【第6回】ジャンプ力は"脚の力"じゃない——跳ぶ力の正体

「うちの子、ジャンプが低いんです。脚の力が足りないのでしょうか」——測定会や育成回で、保護者の方からよくいただく声です。確かにジャンプというと、太ももやふくらはぎの力で跳んでいるイメージがあります。けれど実は、高く跳べるかどうかを決めているのは、脚の筋力だけではありません。

ジャンプは"全身運動の総まとめ"

一度、その場で思いきりジャンプしてみてください。おそらく自然と、膝を曲げて少し沈み込み、腕を後ろに引いてから、振り上げると同時に地面を蹴っているはずです。

この一瞬の動きの中には、これまでのコラムでお伝えしてきた力がすべて詰まっています。体の軸を安定させる体幹(第3回)、体全体で力を伝える力発揮(第4回)、そしてタイミングよく体を操る操作の感覚(第5回)。ジャンプは、こうした力を一度に使う、いわば全身運動の総まとめなのです。

だからこそ、脚の力だけを鍛えても、ジャンプはなかなか伸びません。

高く跳べる子に共通する3つのポイント

では、高く跳べる子は何が違うのでしょうか。大きく3つのポイントがあります。

ひとつめは、腕の振りです。腕を後ろから前上方へ勢いよく振り上げることで、その勢いが体を引き上げる力になります。腕を振らずに跳ぶと、驚くほど高さが出ません。ご家庭でも、腕を使う場合と使わない場合で比べてみると、その差を実感していただけると思います。

ふたつめは、沈み込みのタイミングです。しゃがんでから跳ぶまでの切り替えが速いほど、体はバネのように反発して高く跳べます。逆に、しゃがんだまま止まってしまうと、せっかくためた力が逃げてしまいます。大切なのは深く沈むことではなく、「沈んで、すぐ跳ぶ」というリズムです。

みっつめは、体全体の連動です。足首・膝・股関節が同時に伸び、そこに腕の振りが重なったとき、力がひとつにまとまって地面に伝わります。どこか一か所だけが頑張っても、高さにはつながりません。

つまりジャンプ力とは、筋力の大きさではなく、体の使い方とタイミングの技術なのです。そしてこの技術は、神経が大きく発達する小学生年代にこそ、ぐんと伸びていきます。

"跳べる子"は、"止まれる子"

もうひとつ、ジャンプで見落とされがちなのが着地です。

跳ぶことばかりに目が行きがちですが、スポーツの現場では、着地の上手さがとても大切になります。バスケットボールのリバウンド、バレーボールのブロック、サッカーのヘディング——跳んだあと、どう着地するかで、次の動きの速さもケガのリスクも変わってくるからです。

上手な着地とは、膝と股関節をやわらかく曲げて衝撃を吸収し、ピタッと止まれること。膝が内側に入ったり、体がグラグラしたりする着地は、膝や足首に負担をかけてしまいます。

「高く跳べる」と「きれいに止まれる」は、セットで育てていきたい力です。

ご家庭でできること

特別な練習はいりません。跳ぶ動きは、遊びの中にたくさん隠れています。

ケンケンパ、なわとび、段差の上り下り、公園の遊具からのジャンプ(安全な高さで)、「何歩で跳べるか」の幅跳び競争——どれも跳ぶ力を育てる立派なトレーニングです。いろいろな跳び方を経験するほど、体は「どう跳べばいいか」を覚えていきます。

そしてぜひ、着地で"ピタッ"と止まるチャレンジも取り入れてみてください。跳んだあと、ぐらつかずに片足で3秒止まれたら成功。ゲーム感覚で取り組めて、跳ぶ力と止まる力を一緒に育てられます。

▷ 今月のひとこと:今週、ご家族で「ピタッと着地チャレンジ」をしてみてください。その場で高く跳んで、片足着地でぐらつかずに3秒止まれたら成功です。シンプルですが、跳ぶ力と止まる力が一緒に育ちます。